田舎暮らしのお母さんの介護のお話しです。
今回は、田舎から連れてきたおばあちゃんの都会での排せつに関する心の声です。
田舎暮らしから都会の生活へ、一人暮らしから家族のいる生活へ、友人、隣人のいる生活から誰もいない生活へ、使い慣れた道具、設備から初めての環境へ、この変化は高齢者にとってどんな心の変化をもたらすのでしょう。
私にも確実におとずれる「老い」、一人のおばあさんを通して「気持ち(心)」をしっかり見つめてみようと思います。おばあさんとお嫁さんの言葉のやり取りを会話形式で書いていますので台詞のように声を出して読んでみてください。時々私自身のコメントも入れていきたいと思います。
排せつ編
疲れたでしょう?
この部屋が今日からおばあちゃんの部屋ですからゆっくりして下さいね。分からない事は何でも聞いて下さい。
この部屋が今日からおばあちゃんの部屋ですからゆっくりして下さいね。分からない事は何でも聞いて下さい。
トイレはここですよ。膝が痛むでしょうから便器は洋式にしました。腰掛けて出来るから楽だと思いますよ。
有難う。トイレって便所のことなんだね。
エーッ!これ何?どうやって用をたすの?
腰掛けてと言ってたけどどっち向いて座るの?
なんか丸い中に字が書いてあるね・・・
ヒェーッ!水が出てきたよ。これは風が出てくるみたいだね・・・これは・・・
困ったねー 壁も床もビショビショ、私もぬれちゃったよ。
怒るだろうね・・・
掃除しとこうかね。
雑巾はないかしら・・・
困ったねー 壁も床もビショビショ、私もぬれちゃったよ。
怒るだろうね・・・
掃除しとこうかね。
雑巾はないかしら・・・
何してるんですか?
あら!こんなにびしょびしょにして・・・
あら!こんなにびしょびしょにして・・・
ここの便所は恐ろしいねー
あんたが言うように腰掛けて楽チンだけど水は飛び出すし、風は吹いてくるしお尻が風邪をひくよ。
あんたが言うように腰掛けて楽チンだけど水は飛び出すし、風は吹いてくるしお尻が風邪をひくよ。
お水はお尻をきれいに洗うためで、そのあとの風はお尻を乾かすために使うんです。書いてあるのを読んでからボタンを押して下さいね。
いろいろ書いてあるようだけど読めなかったからちょっと触ってみただけなんだけど・・・
悪かったねー 雑巾かしてくれたら私が掃除するよ。
悪かったねー 雑巾かしてくれたら私が掃除するよ。
お掃除は私がしますから。雑巾じゃなくて専用のペーパーで拭いて、汚れたものはトイレで流せますから衛生的だし手間がかからなくて便利なんです。
これからはいろんな所を触る前に私に聞いて下さいね。
これからはいろんな所を触る前に私に聞いて下さいね。
どうしたんですか?
便器の中に山のようなペーパーが入っていますけど・・・
こんなことしたら排水口が詰まって大変なんですよ。
便器の中に山のようなペーパーが入っていますけど・・・
こんなことしたら排水口が詰まって大変なんですよ。
ホームヘルパー1級の資格を持ち、2006年のたんとぽけっとの介護アドバイザーとして、豊富な在宅介護経験と介護職経験から高齢者と心を通わせるためのヒントを伝授。
2人の子供が成人して田舎に戻らなくなり、おじいさんが死んでからは一人で畑仕事をしながら気ままにのんびり暮らしてたんだ。
昔からの仲間がいるから寂しくないし、何かあれば隣近所が助けてくれるから何も心配はないしねー
それなのに突然一緒に住もうって言うんだよ。ま、せっかくだからちょこっと行ってみようと思うんだ。