認知症のおじいちゃんとおばあちゃんのお話

認知症高齢者

徘徊してしまいおうちに帰れなくなった認知症のおじいちゃんと自分のおうちに帰りたいおばあちゃんのお話です。

このシリーズでは、認知症の方とのいろいろな場面を通して、対話形式ですすめていきます。
認知症については医師の専門的なアドバイスが必要だと思います。こちらのページでは、認知症への理解、認知症の方に寄り添った私なりの対応の経験、認知症のご家族を抱える方が共感できるような内容を掲載しております。

もし、私だったらこんなふうに対応をするなと思われた方は是非ご意見をお聞かせ下さい。

家は遠い?

おじいちゃん
ここはどこかな?
そろそろ暗くなるから帰らないとなー
あそこのおまわりさんに聞いてみよう
おじいちゃん
この紙のところに帰りたいんだが道を教えて下さい。
おまわりさん
おじいさん、一人で来たの?
ここからだとバスに乗らないとすごく遠いよ。
バスはあそこに止まるから少し待ってると良いよ。
おじいちゃん
いやー、歩いて来たから歩いて帰る。道を教えて下さい。
おまわりさん
おじいさんいくつ?
とても歩ける距離じゃないから家の人に迎えに来てもらおう。
コメント
元気なおじいさんは10キロ以上ある道をただただ歩きました。どこへ行きたかったのか分かりません。「歩く事は健康に良い」が信念でした。だからずーっと毎日歩いていました。おじいさんが持っていたカードを見ておまわりさんが保護して、家族に連絡してくれました。朝から夜まで歩き回ったおじいさんはぐったりとして脱水症状に近い状態でした。それでも明日はきっと散歩に出かけます。
補足説明
身元が分かるように氏名、連絡先を書いて、衣類の裏側(表につけると剥がしてしまう)に縫い付けたり、カードをポケットに入れておいたり、持ち歩く鞄に入れておきましょう。外出を無理に止めると暴力につながる事もあります。時間に余裕があったら少し一緒に歩いて気分転換して帰宅しましょう。

帰りたい家

おばあちゃん
そろそろ帰ろうかね
私(娘)
エッ!何処へですか?
おばあちゃん
何処へって・・・私の家に決まってるでしょ。
玄関開けてよ。
何であかないの?
ここは私の家じゃないよ。
私(娘)
ここに越してきたからここがおばあちゃんの家なのよ。
おばあちゃん
そんな事ないよ。引越しなんてしてないよ。早くしないと暗くなって帰れなくなっちゃう。
何してるのよ。早くタクシー呼んでよ。
コメント
認知症が始まって同居しました。段々イライラが増して不穏になっていきます。
認知症が始まってからの同居はなかなか新しい環境になじめず、そこが新しい自分の住まいと認めることが困難なようで、以前住んでいた家に帰ろうとする方が多いようです。
認知症が進行すると「帰りたい家」が変わっていきます。現在の家から何度も引越しをした方ならその中の印象が強く残っている家へ、結婚前の家、子供の頃の家と移っていきます。自分の中で描いている世界と今居る環境が違うので不安になって落ち着ける場所を探しているのかもしれません。
補足説明
対処方法は様々ですが、参考までにこのようなお声がけはどうでしょうか?
もう外は暗いから明日明るくなってからにしましょう。
美味しいお菓子があるからお茶を飲んでからにしませんか?
明日一緒に行きますから今夜は泊まってください。
注意を別にそらしたり、今は帰れないけど明日は帰ることができるという安心感を持ってもらいましょう。

認知症の方の心の声に耳を傾けましょう。

2019.01.20



ABOUTこの記事をかいた人

ホームヘルパー1級の資格を持ち、2006年のたんとぽけっとの介護アドバイザーとして、豊富な在宅介護経験と介護職経験から高齢者と心を通わせるためのヒントを伝授。