私の家族介護の実体験を元にしたお話です。
今回は、私が感じた認知症の方の心の声を言葉に出して書いてみました。
専門的に認知症への理解は医師のアドバイスをお勧めします。
こちらのページでは、認知症への理解、認知症の方に寄り添った私なりの対応の経験、認知症のご家族を抱える方が共感できるような内容を掲載しております。
私は認知症です。
過去のことを思い出せず、この先どうなるかもわからないというのは暗い穴の中に居るようでとても不安です。
考え出すと不安で心配で眠れない。何かを忘れているのではないか、大事なことを忘れているような気がする。
約束をして誰かに迷惑をかけているかもしれない。
目的を持って外に出たのに途中で何をしに、どこへ行こうとしているのかわからない。
考えても、考えても頭の中がぼーっとして思い出せない。
夫の声は大きく、絶えず叱られているようで恐いのです。
本当は私の事が気になって、心配してくれているのだとわかっているのですけれど。
不明瞭で抽象的な事は理解出来なくなりました。
長い説明は覚えてられないし、同時に2つ以上の事を考えるのも困難になりました。
静かに、ゆっくり、おだやかに、短い簡単な言葉で話しかけて下さい。
美味しい物を作る事が出来なくなりました。作り方が思い出せない。
誰かが用意してくれた物は美味しいと感じるのに。
買い物に行っても何を買いに来たのか思い出せず、余計な物を沢山買ってしまうのです。
計算が分からなくておつりをもらうので小銭がたまります。
大切な物が見つからなくなりました。大切だから大事にしまったはずなのに。
どうしてかしら?
自分で楽しみを見つけられなくなりました。
誰かと一緒なら歌を歌っても、絵を描いても、散歩に出てもとても楽しいのに。
私はこんな自分が嫌いです。
だから、いらだち、気難しくなったり、意地悪になったりします。時にはパニックになって、あばれて貴方を困らせるかもしれません。
そんな時にはそっと私の手をとり、静かにさすって下さい。
私を見て、私に触れて、そして笑顔で話しかけて下さい。
それだけで私は落ち着く事が出来るのです。
見当識障害・記憶力の低下/理解力・思考力・集中力の低下
判断力の低下/実行機能の低下(計算力・自発性)
認知症が進んでこれらの能力が無くなっても「愛は最後まで感じる事ができます」という認知症の方の言葉が難しいケアに対応する原点ではないかと思います。
ホームヘルパー1級の資格を持ち、2006年のたんとぽけっとの介護アドバイザーとして、豊富な在宅介護経験と介護職経験から高齢者と心を通わせるためのヒントを伝授。