コラム おばあちゃんのつぶやき③

高齢者の徘徊

田舎暮らしのお母さんの介護のお話しです。
今回は、田舎から連れてきたおばあちゃんの都会での生活に関する心の声です。

田舎暮らしから都会の生活へ、一人暮らしから家族のいる生活へ、友人、隣人のいる生活から誰もいない生活へ、使い慣れた道具、設備から初めての環境へ、この変化は高齢者にとってどんな心の変化をもたらすのでしょう。

私にも確実におとずれる「老い」、一人のおばあさんを通して「気持ち(心)」をしっかり見つめてみようと思います。おばあさんとお嫁さんの言葉のやり取りを会話形式で書いていますので台詞のように声を出して読んでみてください。時々私自身のコメントも入れていきたいと思います。

生活編

お嫁さん
おばあちゃん 食事ここに置きますね。
おばあちゃん
ありがとう
おばあちゃん
部屋まで運んでくれるのは有難いけど・・・でもね

皆が食べてる所で一緒に食べる方がきっと美味しいと思う。
田舎で一人暮らしの時は一人で食べてもそれが普通だったけど、
話し声や笑い声を遠くに聞きながら一人で食べるのは寂しいね・・・

食欲もわかないし、まずいねー 芋の煮っころがしが食べたいね。
醤油と砂糖で甘辛く煮たほくほく、熱々のジャガイモ、
とろとろに煮えた玉葱が美味しいんだよ。

自分で作ろうとすると危ないからと包丁は隠されるし、ガスも使えない。
一緒に作らせてくれたらと思っても台所に入れてもくれない。
この部屋から一歩出ようとするとすぐに誰かが見に来る。
監視してるのかね・・・

毎日テレビの前に座っているだけで何もすることがない。
退屈でつまらないねー

こんなことしてたらボケちゃうよ。

田舎に帰ってそろそろ畑仕事をしないと草がいっぱいだろうね。

ここでは何もすることが無いし、友達も居ないし、つまらん。(楽しくない)

そろそろ田舎へ帰ろうかね。

おばあちゃん
あのね・・・私家に帰ろうと思うんだけど。
お嫁さん
エー!何言ってるんですか。おばあちゃんの家はここですよ。
おばあちゃん
ここは私の家じゃないよ。
お嫁さん
一人じゃ心配だからってここに一緒に住むことにしたんでしょう?
この家で一番日当たりの良い部屋にいて、食事も運んで、掃除、洗濯も私がして、
おばあちゃんは何もしないで好きなだけテレビを見ているのに何が不満なんですか?
おばあちゃん
畑も気になるし、いつまでも居ると迷惑かけるしね。長いこと世話になったね。有難う。
お嫁さん
とにかくみんなに相談してからにして下さい。
おばあちゃん
そんなに大袈裟にしなくても一人で帰るから大丈夫だよ。荷物は何時でも良いから送ってね。
コメント
何もすることのない生活は楽しいでしょうか?
忙し過ぎると2~3日、何もしないでボーっとしたいと思いますがそれは一休みですよね。
支えるという事
時間・・・将来の夢(希望)、生活
関係・・・他者との関係性
誰かがいるから強くなれる
誰かのために強くなれる
自立・・・自己決定できる自由

人は、自分が誰かの為に役立つことが出来、喜んでもらえたら、それが自分の喜びであり、生きがいとなって頑張れるのだと思います。
誰しも自分を必要とするところに身をおきたいと思うのが普通のことではないでしょうか。

認知症のおばあちゃん

コラム おばあちゃんのつぶやき④

2019.01.06



ABOUTこの記事をかいた人

ホームヘルパー1級の資格を持ち、2006年のたんとぽけっとの介護アドバイザーとして、豊富な在宅介護経験と介護職経験から高齢者と心を通わせるためのヒントを伝授。