認知症の方は、バリバリ仕事をしていた・仕事に充実していた頃に戻ることが多いようです。
今回は、そんな方々の様子をご紹介します。
仕事(職業)による行動 その4
夜中のホームフロアー、スタッフが見回りをしています。
若い女の子が一人で歩いていたらだめだ。早く帰りなさい。
スタッフが部屋に誘導します。
夜中にホーム内を歩き回り、会う人会う人に職務質問をしています。今夜は夜勤のおまわりさんのようです。
仕事(職業)による行動 その5
うどんを打つAさん
あるグループホームを訪問しました。
念入りに手洗いを済ませ、大きなテーブルを囲んでまずはご挨拶。
テーブル上には大きなボールに入ったうどん作り用の粉と水が用意されています。
お手本はAさん(84歳)。
水を少しずつ加え、粉を練っていきます。
水の分量はAさんの長年の経験の「良い加減」で決まります。
手指についていた粘粘が、いつの間にかきれいな大きな塊になりました。
それからテーブルの周りで順番に力を込めてこねました。
なかなかAさんのOKが出ません。
思わず耳に手をやってしまいました。
Aさんの指示のもと、ワイワイ、ガヤガヤやる内に滑らかなうどん種ができました。
ここで、うどん種も人間もちょっとお休み。
今度はのし棒を使って薄く広げる作業です。
Aさんの見事な棒さばきで厚さが均一に形良く広がっていきます。
私たちがのし棒を使うと、厚さが均一にならず、形も変形しています。
Aさんに笑われて、再度均一な厚さに挑戦。
薄く大きく広がったうどん種をアコーディオンたたみして、端から細く切っていきます。細く切らないと茹で上がったとき、ほうとうのようになってしまうことをあとで知りました。
Aさんの包丁さばきもすばらしいものでした。
スタッフの方が大なべで茹でてくださり、出来立てを、用意された薬味とつゆでいただきます。
「美味しい」と歓声が上がります。「この太いの誰がきったの?」
またワイワイガヤガヤです。
ニコニコ顔のAさんは満足そうでまったく認知症を感じる事のないうどん作り指南でした。
何事もなく無事に終わりましたが、影で準備したり、気配りをするスタッフの方のご苦労は大変なものだったろうと思います。
楽しい一日をありがとうございました。
ホームヘルパー1級の資格を持ち、2006年のたんとぽけっとの介護アドバイザーとして、豊富な在宅介護経験と介護職経験から高齢者と心を通わせるためのヒントを伝授。