田舎暮らしのお母さんの介護のお話しです。
今回は、田舎から連れてきたおばあちゃんが帰りたくなったお話です。
私にも確実におとずれる「老い」、一人のおばあさんを通して「気持ち(心)」をしっかり見つめてみようと思います。おばあさんとお嫁さんの言葉のやり取りを会話形式で書いていますので台詞のように声を出して読んでみてください。時々私自身のコメントも入れていきたいと思います。
でも周囲から見たら「徘徊」と思われてしまうという事もありますね。ご本人の気持ちをゆっくり聴いてみると問題が解決する時もあります。
この間は駅までこられなかったからね・・・よかった。
えーと、切符はどこで買うのかしら・・・機械ばかり並んでるよ。
ご親切にありがたいね・・・切符を買ってくれたよ。
あら!どうして中には入れないの?
切符は誰が見るのかしら? 都会は難しいね・・・
駅員さんのいるほうから入ろうかね。
田舎の駅は良いね・・・誰もが顔見知りで声をかけてくれる。
階段もないし、電車も混んでないし・・・
息子家族に不満があったわけではないと思います。
唯、ここには自分の居場所が見つからない、楽しみが無い、
残してきた田舎の家、畑が気になり、友人が懐かしくて、我慢できなくなっての行動と思います。
世話してくれたお嫁さんにはこれ以上迷惑をかけたくないという気持ちもあります。
今、おばあさんの目はいきいきとし、心ははずんでいます。
息子家族は大騒ぎになっていると思います。
特にお嫁さんはどんな気持ちでしょう。
これ以上何が不満なの。
と夫に訴えています。
夫(息子)も母親のわがままと思っています。そして「ボケたかな」と頭の中をちらっとよぎりました。
ホームヘルパー1級の資格を持ち、2006年のたんとぽけっとの介護アドバイザーとして、豊富な在宅介護経験と介護職経験から高齢者と心を通わせるためのヒントを伝授。
財布は持ったし、荷物は後で送ってもらえば良いからとりあえず一人で帰ろう。
駅はどっちだろう・・・確かこっちの方から来たような気がするねー
息子は仕事で忙しいようだし、嫁に迷惑はかけたくないからね。
駅は近いと聞いていたけどまだかね・・・今、何時だろう。
お腹がすいてきたね・・・
都会は怖い人が多いとテレビで言ってたから気をつけないとね。あっ!おまわりさんだ。駅はどっちか聞いてみようかね。
何で私の事、知ってるのかな?親切にパトカーに乗せてくれて家まで送ってくれるんだってさ・・・
沢山歩いてちょっと疲れたから乗せてもらう事にしようかね。
エッ!もう着いたの?あら!ここは私の家じゃないよ。いやだね・・・また息子の家に来ちゃった。