これまでユニバーサルデザインについてお伝えしてきました。今回で終了します。
ユニバーサルサービスやユニバーサルデザインといった言葉がかなり一般的になってきました。
ユニバーサルデザイン(以下UD)の定義とそれを考える上でのポイントをもう一度確認してみます。
- 一部の人の専用品になっていないこと
- 現状より、多くの人に使いやすく分りやすくしていく「比較」の考え方であること
- デザインという言葉は、見た目だけでなく、サービスや構造なども含む仕組み全体のことを指すこと。
これらを踏まえつつ、介護食品をはじめとしたユニバーサルデザインフードや多目的トイレの設置、電車の車内表示など、接客や販売、食品や日用品、設備の中で、さまざまな企業や団体により応用されています。
とはいえ、多目的トイレがなく、男女別用のみで、さらにおむつ交換台は女性用トイレにしかない施設があります。また、エレベーターや部屋のスイッチに点字表示がしてあっても、配慮がそれだけの施設もあります。点字の識字率はあまり高くないことを考えると、もちろんないよりは良いですが、それらの施設はもう一歩な感じがします。
自治体や事業者による情報提供、個人や地域のNPOやボランティア団体によるクチコミ情報によって「多機能トイレ(車いす対応、ベビーシート対応など)」や「授乳室がある施設」などの情報を維持・管理していくインターネットプロジェクトです。トイレを検索するだけでなく、自分の行ったトイレがお勧めだったら登録して、情報を共有することができます。お互いの情報を交換することでデータをより充実させていく試みです。
道具や設備には、人によって異なるさまざまな特性による使いやすさと人の特性に関係なく共通した使いやすさがあります。
第一回目にも書きましたが、バリアフリー製品は、特定の障害のある人のバリアを除くデザインであったために、一部の障害のある人向けの対策になりがちでした。UDの考え方は使える人を増やすデザインを実現の目標にします。UDを取り入れることで使える人を増やし、特別な配慮を必要とする人を相対的に減らしていく。どんな製品でも使えない人は存在するので、その人々にはバリアフリーで対応します。
UDの考え方を理解して、快適に暮らすための一つの視点として、心に留めていただければ幸いです。
ホームヘルパー1級の資格を持ち、2006年のたんとぽけっとの介護アドバイザーとして、豊富な在宅介護経験と介護職経験から高齢者と心を通わせるためのヒントを伝授。