前回、UDを理解するための七原則というものがあるということをお伝えしました。
一つめとして、
「同じように利用できること(公平な利用)」を挙げました。
今回は二つめ、
「使う際の自由度が高いこと(利用における柔軟性)」をとりあげます。
これは、すべての利用者にとり
- 利用する方法を選べるようにする
- 右利きと左利きのどちらでも使えるようにする
- 利用者の的確で正確な操作を促す
- 利用者個々の使いやすいペースに合わせられるという要素をあらわしています。
たとえば、階段、エスカレーターとエレベーターという三つの手段が用意されているようなところを考えてみます。
・大きな荷物を持った人やベビーカーを押す人、車いすを使う人は自分にあった使いやすいものを選択することができます(1)
・また、階段を駆け上がる、エレベーターをゆっくり待つなど、自分のスピードに合う手段を選択できます(4)
・そして、適切な案内表示や操作上のデザインをおこなうことで、正しい操作による利用を促すことができます(3)。
・その他の例として、高さの異なる手すりが設置されているところがあります。背の高い人や低い人、お年寄りや子どもなど、それぞれが持ちやすい高さの手すりを選ぶことができます(4)
現在販売されている多くのハサミは、左利きの人が使うとたいてい切りづらいものです。
そのため左利き用に歯の組み合わせが逆になっているハサミが別に売られています。でもこれは右利きの人には使いづらいものです。
どちらの手でも使いやすいハサミはUDの製品といえます。
しかしUDの考え方は製品のデザインに限りません。
右利き用と左利き用の両方のハサミが置いてある文房具店は、UDに配慮し選択肢を増やした品揃えをしているといえます(1)。
このように、「利用における柔軟性」というのは、利用者の個人的な好みや能力の違いに幅広く適応することを意味しています。
ホームヘルパー1級の資格を持ち、2006年のたんとぽけっとの介護アドバイザーとして、豊富な在宅介護経験と介護職経験から高齢者と心を通わせるためのヒントを伝授。